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名言No.288 チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ

胸に刻む名言 ~Quotation~ 名言
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本日の名言

The real tragedy of our postcolonial world is not that the majority of people had no say in whether or not they wanted this new world; rather, it is that the majority have not been given the tools to negotiate this new world.

Chimamanda Ngozi Adichie

日本語訳

私たちのポストコロニアルな世界における真の悲劇は、大多数の人々がこの新しい世界を望むかどうかについて意見を言う機会がなかったことではありません。むしろ、それは大多数の人々がこの新しい世界を渡り歩くための手段を与えられていないことです。

チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ

構造分析

この文章は、複雑な対比構造を含む主節と従属節で構成されています。

  • 第1主節: The real tragedy of our postcolonial world is not that the majority of people had no say in whether or not they wanted this new world
    • 主語: The real tragedy of our postcolonial world
    • 動詞: is not
    • 補語: that the majority of people had no say in whether or not they wanted this new world(名詞節)
  • 従属節: that the majority of people had no say in whether or not they wanted this new world
    • 主語: the majority of people
    • 動詞: had
    • 目的語: no say
    • 修飾語: in whether or not they wanted this new world
  • 第2主節: rather, it is that the majority have not been given the tools to negotiate this new world
    • 主語: it
    • 動詞: is
    • 補語: that the majority have not been given the tools to negotiate this new world(名詞節)
  • 従属節: that the majority have not been given the tools to negotiate this new world
    • 主語: the majority
    • 動詞: have not been given(受動態)
    • 目的語: the tools
    • 修飾語句: to negotiate this new world

主な単語の品詞・働きと日本語訳

単語品詞と働き日本語訳
tragedy名詞(主語の一部、不可算名詞)悲劇
postcolonial形容詞(名詞を修飾)ポストコロニアルの
majority名詞(主語、可算名詞)大多数
people名詞(主語の修飾語句、可算名詞)人々
say名詞(目的語、不可算名詞)意見
wanted動詞(過去形、従属節述語動詞)望んだ
tools名詞(目的語、可算名詞)手段
negotiate動詞(他動詞、修飾語句の一部)渡り歩く
world名詞(修飾語句の目的語、可算名詞)世界
given動詞(過去分詞、受動態述語動詞の一部)与えられた

句動詞、イディオムほか

  • no say in whether or not: 「~するかどうかについての意見がない」― 意見表明の機会が奪われた状況を示します。
  • been given the tools: 「手段が与えられている」― 能力や資源が提供されることを表します。

人物と背景

チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ(Chimamanda Ngozi Adichie, 1977 – )は、ナイジェリア出身の作家であり、世界的に有名なフェミニストとして知られています。彼女は、ナイジェリアの民族と文化、多様性、そして植民地支配の影響をテーマにした著作を多数手掛けており、その鋭い洞察力と表現力で高い評価を得ています。

代表作には『パープル・ハイビスカス』『半分のぼった黄色い太陽』『アメリカーナ』があり、これらの作品を通じて、彼女はナイジェリアの歴史や国際的な政治的背景を読者に伝えています。また、TEDでのスピーチ「危険な単一の物語」や「私たち全員がフェミニストであるべき理由」は、世界中で広く視聴され、人々の思想や価値観に影響を与えました。

この言葉が語られた背景には、植民地支配後の世界で、多くの人々が依然として十分な教育や資源を提供されず、新たな時代に適応する力を持てない現実への彼女の憂慮が込められています。彼女の作品や言葉は、特にアフリカや植民地化の影響を受けた国々の人々の声を代弁するものとして、国際的な注目を集めています。


解説

ポストコロニアルの悲劇――新たな世界で生きるための手段

新しい世界の構築における苦難

私たちの時代は、かつての植民地時代の影響を色濃く残しています。国境の形や経済の仕組み、文化的なアイデンティティに至るまで、その痕跡はあらゆる場面に見受けられます。しかし、チママンダ・ンゴズィ・アディーチェが指摘したように、ポストコロニアルな世界における悲劇の真の形は単純ではありません。それは、かつて支配を受けた多くの人々が、未来を形成するための道具を与えられていないことにあります。

「大多数の人々が新しい世界を望むかどうかについて意見を言う機会がなかったことが悲劇ではない。真の悲劇は、大多数がその新しい世界を渡り歩くための手段を持っていないことだ。」この言葉には、力強いメッセージが込められています。それはただ過去を悼むのではなく、新たな未来を切り開くために必要なものを私たちに問いかけています。

「選ばれなかった」歴史の重さ

植民地時代を経た多くの国々では、独立後の新しい世界の形が、その住民の声を十分に反映したものではありませんでした。歴史的な出来事が作り上げた世界に対し、多くの人々は受動的な立場に置かれ、そこに生きる方法や道筋を模索する時間すら与えられないことがしばしばです。これが、ポストコロニアルな世界の持つ根深い問題の一つと言えます。

その「選ばれなかった」結果として、人々は新しい世界のルールを理解し、適応するための道具を持つことができず、自己実現への道を閉ざされています。経済的な不平等、教育へのアクセスの欠如、文化的アイデンティティの喪失など、この悲劇の結果は多岐にわたります。そしてこれらの課題は、地域的な問題にとどまらず、国際的な不安定さや不公平さの根本原因ともなっているのです。

手段を持つことの意味

チママンダ・ンゴズィ・アディーチェが「渡り歩くための手段」と表現したものは、単なる技術的なスキルや教育にとどまりません。それは、文化的、社会的、精神的な力を含むものです。人々が自分自身を理解し、アイデンティティを形成するための機会。そして、個人が新しい世界において自分の居場所を見つけるための力です。

これらの手段を持つことは、ただ生きるための最低限の条件を満たすだけでなく、未来を自分たちの手で作り上げるための原動力となります。教育、文化的支援、経済的な公平さの確保。これらがすべての人々に与えられることによって、ポストコロニアルな世界の本質的な課題は少しずつ解消されるのです。

持続する植民地の影響

植民地支配の歴史は過去のものだと考える人もいるかもしれません。しかし、その影響は私たちが思う以上に現在の社会に根付いています。国際的な経済構造、文化のグローバリゼーション、そして政治的な対立の多くが、その歴史の延長線上にあります。

例えば、多くの発展途上国が直面している貧困や教育の問題は、植民地時代の経済政策や支配構造に由来しています。これらの国々が、真の独立を達成するためには、過去の負の遺産を克服し、自立した未来を築く必要があります。そしてそれには、人々一人ひとりが手段を持つことが不可欠なのです。

未来に向けた行動

彼女の言葉は、単なる批判ではありません。それは未来に向けた行動を促す呼びかけでもあります。私たちは過去を嘆くだけでなく、未来を築くための方法を模索しなければなりません。そして、それには教育や文化を通じて、個人が力を得られる仕組みを作ることが必要です。

具体的には、国際的な支援体制を強化し、教育の機会を広げること。また、文化的アイデンティティを尊重し、多様性を認める社会を築くことです。これらの取り組みを通じて、人々がポストコロニアルな世界に適応し、未来を切り開く力を得ることが可能となります。

まとめ

チママンダ・ンゴズィ・アディーチェの言葉は、私たちにポストコロニアルな世界の本質を考えるきっかけを与えてくれます。真の悲劇は、過去の選択が奪われたことだけではなく、その新しい世界を渡り歩くための力が人々に与えられていないことにあります。

私たちの課題は、この歴史的な悲劇を克服し、未来に向けた新たな道筋を模索することです。教育、文化、経済的な公平さ。これらの力をすべての人々が手に入れることで、私たちは真に持続可能な社会を築くことができます。そして、その未来が私たち全員にとって希望あるものとなることを願ってやみません。