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名言No.37 ウォルター・バジョット

胸に刻む名言 ~Quotation~ 名言
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本日の名言

Capital must be propelled by self-interest; it cannot be enticed by benevolence.

Walter Bagehot

日本語訳

資本は自己利益によって推進されなければならない。それは慈善によって引き寄せられることはない。

ウォルター・バジョット

構造分析

この英文は主文と従属節から成るシンプルな構造をしています。

主文

  • Capital must be propelled by self-interest
    • 主語: Capital(資本)
    • 助動詞: must(義務・必要性を表す)
    • 動詞: be propelled(推進される)
    • 前置詞句: by self-interest(自己利益によって)

従属節

  • it cannot be enticed by benevolence
    • 主語: it(それ=資本)
    • 助動詞: cannot(不可能を表す)
    • 動詞: be enticed(引き寄せられる)
    • 前置詞句: by benevolence(慈善によって)

この構造は、資本主義の基本的な動機付けの原則を明確に述べたものです。

主な単語の品詞・働きと日本語訳

単語品詞と働き日本語訳
capital名詞(不可算名詞、主語)資本
must助動詞(義務・必要性を表す)~しなければならない
propelled動詞(過去分詞、述語の一部)推進される
by前置詞(手段を示す、修飾語)~によって
self-interest名詞(不可算名詞、前置詞の目的語)自己利益
cannot助動詞(不可能を表す)~できない
enticed動詞(過去分詞、述語の一部)引き寄せられる
benevolence名詞(不可算名詞、前置詞の目的語)慈善

句動詞、イディオムほか

  • propelled by: 「~によって推進される」という表現は、行動や動力の原因を示します。
  • enticed by: 「~によって引き寄せられる」という表現は、誘因や誘惑のニュアンスを持っています。ここでは、資本を魅了する手段を指しています。

人物と背景

ウォルター・バジョット(Walter Bagehot, 1826 – 1877)は、イギリスのジャーナリスト、経済学者、評論家として活躍した人物です。彼は『エコノミスト』誌の編集者を務めながら、銀行制度や経済構造について深く掘り下げた論考を発表しました。その作品は、現代の金融システムにも影響を与えています。

バジョットが活躍した19世紀は、産業革命の影響で経済が急速に拡大し、資本主義が世界を支配し始めた時代でした。この中で、特に銀行や中央銀行の役割が重要になりつつありました。彼の代表作『ロンバード街』では、銀行の流動性リスクや中央銀行の「最後の貸し手」としての役割を強調し、金融危機を防ぐための具体的な指針を提示しました。

彼は、資本の本質について、「資本は利益を追求することで初めて効率的に動く」という視点を持ち、その理念を様々な場面で述べています。同時に、彼は社会的責任を無視しないバランス感覚を持っていたことでも評価されています。バジョットの洞察は、資本主義が持つ力と限界を理解するための重要な鍵を提供しており、現代の経済政策にも通じる内容を含んでいます。

解説

資本を動かす力

「資本は自己利益によって推進されなければならない。それは慈善によって引き寄せられることはない。」このウォルター・バジョットの言葉は、資本主義の根本を端的に表現しています。このフレーズは冷徹に聞こえるかもしれませんが、経済活動の現実を考える上で重要な洞察を提供してくれるものです。資本主義社会において、資本がどのように機能し、社会を動かしているのか。このテーマは、私たちの経済活動を見つめ直す際の大切な指針となるでしょう。

自己利益がもたらす原動力

資本が経済を動かすためには、明確な動機が必要です。その最も強力な動機が「自己利益」なのです。利益追求の欲求は、投資や事業活動を促し、新たな価値を生み出します。例えば、自動車産業の進化や、エレクトリックビークル(EV)の急速な普及は、多くの企業が利益を追求する中で生まれた成果です。同様に、IT分野のイノベーションもまた、資本を導く利益の見通しがあったからこそ成し遂げられたものです。

自己利益を原動力とする資本主義は、経済活動をダイナミックなものにします。競争が促進され、効率的な資源配分が実現し、より良い製品やサービスが市場に提供されます。このように、利益追求は単なる個人や企業のためだけではなく、広く社会全体を豊かにする仕組みを内包していると言えるのです。

慈善では動かない現実

バジョットが述べているように、資本は慈善によって引き寄せられることはありません。慈善活動は確かに社会的な課題を解決する上で重要な役割を果たしますが、それが資本の流れを変える動機として機能することは難しいのです。資本は利益を追求する性質を持っており、慈善の美徳だけではその性質を動かすことはできません。

ここで強調されるのは、資本主義の冷徹な現実です。資本は具体的な利益が見込まれる場面で初めて動きます。慈善や感情的な価値観に訴えかけるだけでは、資本を動員する力としては不十分です。この現実を受け入れることは、資本主義の仕組みを理解する上で欠かせません。

資本運用に求められる倫理

利益を追求する資本には、効率性が求められます。少ないリソースで最大の成果を得ることが、資本の持つ理想的な姿だからです。しかし、利益追求が行き過ぎると、不平等や環境破壊といった深刻な社会問題が生じることもまた事実です。このため、近年では倫理的かつ持続可能な資本運用が強く求められています。

具体的には、環境・社会・ガバナンス(ESG)投資への関心が高まっています。利益だけでなく、社会や環境への責任を果たす資本運用のあり方を模索するこの動きは、資本主義を新しい形で進化させる可能性を秘めています。利益と倫理のバランスを追求することで、資本主義の限界を克服し、持続可能な経済の実現に近づくことができるでしょう。

社会における資本の役割

資本主義は、社会全体に利益をもたらすシステムとして機能しています。効率的な資本運用は、製品やサービスのコストを下げ、市場を活性化させ、雇用を創出します。さらに、競争の中で生まれる革新は、技術や知識の向上をもたらし、それが新たな価値の創出へとつながっていきます。

一方で、資本主義が抱える課題も無視することはできません。利益を追求する中で、一部の人々や地域が不利益を被ることがあります。また、資源の過剰消費や環境破壊といった問題も資本主義の影の部分として挙げられます。これらの課題に向き合うためには、資本主義の枠組みを見直し、より公正で持続可能な仕組みを構築する必要があります。

まとめ

ウォルター・バジョットの言葉が示すように、資本は自己利益によって推進されなければならない現実を認識することが重要です。それは、資本主義の仕組みを理解し、その力を効果的に活用するための第一歩です。一方で、利益だけを追求するのではなく、社会や環境への責任を果たす視点を持つことが求められています。

資本主義は私たちの生活を豊かにする力を持っていますが、それを持続可能な形で運用するためには、倫理的な判断と責任ある行動が必要です。利益追求と社会的責任を両立させることで、資本主義の持つ力を最大限に活用し、次世代のための持続可能な未来を築くことができるでしょう。