本日の名言
We are, perhaps, uniquely among the earth’s creatures, the worrying animal. We worry away our lives, fearing the future, discontent with the present, unable to take in the idea of dying, unable to sit still.
Lewis Thomas
日本語訳
私たちは、おそらく地球上の生物の中で特異な存在であり、心配する動物です。私たちは未来を恐れ、現在に不満を抱き、死という概念を受け入れることができず、じっとしていることもできないまま、人生を心配で消耗させています。
ルイス・トーマス
構造分析
文の構造
この英文は、主節と複数の修飾語句で構成されています。
- 文1: “We are, perhaps, uniquely among the earth’s creatures, the worrying animal.”
- 主語: “We”
- 動詞: “are”
- 補語: “the worrying animal”
- 修飾語句: “perhaps, uniquely among the earth’s creatures”(副詞句)
- 文2: “We worry away our lives, fearing the future, discontent with the present, unable to take in the idea of dying, unable to sit still.”
- 主語: “We”
- 動詞: “worry away”
- 目的語: “our lives”
- 修飾語句: “fearing the future, discontent with the present, unable to take in the idea of dying, unable to sit still”(分詞構文)
主な単語の品詞・働きと日本語訳
| 単語 | 品詞と働き | 日本語訳 |
|---|---|---|
| perhaps | 副詞(動詞areの修飾) | おそらく |
| uniquely | 副詞(修飾語の一部) | 特異に |
| earth’s | 名詞(修飾語の一部)可算名詞 | 地球の |
| creatures | 名詞(修飾語の一部)可算名詞 | 生物 |
| worrying | 形容詞(補語の一部) | 心配する |
| animal | 名詞(補語の一部)可算名詞 | 動物 |
| worry | 動詞(他動詞、目的語を取る) | 心配する |
| away | 副詞(動詞worryの修飾) | 消耗させる |
| lives | 名詞(目的語)可算名詞 | 人生 |
| fearing | 動詞(現在分詞、修飾語) | 恐れる |
| future | 名詞(目的語)不可算名詞 | 未来 |
| discontent | 形容詞(補語) | 不満である |
| present | 名詞(修飾語の一部)不可算名詞 | 現在 |
| unable | 形容詞(補語) | ~できない |
| take | 動詞(他動詞、目的語を取る) | 受け入れる |
| idea | 名詞(目的語)可算名詞 | 概念 |
| dying | 動名詞(修飾語の一部) | 死ぬこと |
| sit | 動詞(自動詞) | 座る |
| still | 副詞(動詞sitの修飾) | じっとしている |
句動詞、イディオムほか
worry away: 「心配で消耗させる」という句動詞。
take in the idea of: 「~の概念を受け入れる」という表現。
sit still: 「じっと座る」という表現。
人物と背景
ルイス・トーマス(Lewis Thomas, 1913年 – 1993)は、アメリカの医師、詩人、エッセイスト、研究者であり、科学と文学を結びつけた独自の視点で知られています。彼は『The Lives of a Cell: Notes of a Biology Watcher』をはじめとするエッセイ集で、科学的な洞察と哲学的な思索を融合させた文章を執筆しました。
トーマスは、ニューヨーク州フラッシングで生まれ、プリンストン大学とハーバード医科大学で学びました。彼は医学研究者としてのキャリアを積む一方で、エッセイや詩を通じて人間の存在や自然界の神秘について深く考察しました。特に、生命科学や生態学、文化的なテーマを扱った彼の文章は、科学と人文学の橋渡しとして高く評価されています。
彼の生きた時代は、第二次世界大戦や冷戦、核兵器の登場など、科学技術が急速に進化し、同時にその倫理的な課題が問われた時期でした。トーマスの作品は、科学の進歩がもたらす希望と不安を描き出し、現代社会における人間の役割を問いかけるものとして、多くの読者に影響を与えました。
解説
心配する動物としての人間:不安と希望の狭間で生きる私たち
ルイス・トーマスが語った「私たちは、おそらく地球上の生物の中で特異な存在であり、心配する動物です」という言葉。これは、人間という存在を鋭く描写し、私たちの本質を捉えた言葉として胸に響きます。未来を恐れ、現在に不満を抱き、死という概念に向き合うことができず、じっとしていることも苦手な人間。それは、喜びや希望を持つ一方で、常に不安や葛藤とともに生きる私たちの姿そのものではないでしょうか。このブログでは、この心配する動物としての人間の特質について考え、人間が持つ不安とそれを超えた希望の力に焦点を当てていきます。
「心配する動物」とは
地球上の他の生物と比較すると、人間は非常に特異な存在と言えます。動物たちは本能的に危険を察知して逃れることができますが、それは通常、現実の脅威に対する反応です。それに対して、人間はまだ起こってもいない未来の出来事に思い悩み、仮定の状況に不安を抱きます。
私たちは高い知能を持ち、時間の概念を理解しています。そのため、未来の可能性について考える能力を得ましたが、それと引き換えに「心配」という重荷を背負うことになりました。未来への恐怖、現在への不満、そして死という不可避の現実——こうしたテーマは私たちの心に絶えず影響を及ぼしています。これが、ルイス・トーマスが指摘した「心配する動物」としての人間の姿です。
未来を恐れ、現在に不満を抱く人間
未来に対する恐れは、人間にとって避けられない問題です。仕事、健康、家族、人間関係——私たちはこれらすべての未来について考え、不安を感じます。この恐れが行動の原動力となることもありますが、時にはそれが行き過ぎて、無駄なストレスや心配を引き起こすことがあります。
また、現在への不満も人間特有のものです。他の動物が目の前の食事や安全に満足しているのに対し、人間はもっと良いもの、もっと多くの成功、もっと高い幸福を求めてしまいます。この終わりなき欲求は、進歩の原動力であると同時に、現在を楽しむ能力を奪うジレンマでもあります。
死という概念との対峙
ルイス・トーマスが指摘した「死という概念を受け入れることができない」という性質は、人間特有の苦悩のひとつです。死を意識することで人生の意味を考え始める一方で、その不可避性に直面すると恐れを感じる。この二面性が私たちを深い思索へと誘い、哲学や宗教、芸術の発展を促してきました。
しかし、死の概念に向き合うことは決して容易ではありません。そのため、多くの人は死の恐怖から目をそらし、日常の忙しさの中でその考えを避けようとします。一方で、この恐怖を克服し、死を受け入れることができれば、生きる意味や目的をより深く理解することができるのも事実です。
不安の裏側にある希望
では、この絶え間ない心配や不安をどう捉えればいいのでしょうか。ルイス・トーマスの言葉は、人間を「心配する動物」として捉える一方で、その特性が私たちをただの苦悩に閉じ込めるものではないことも示唆しています。実際、不安は創造性や行動の起爆剤ともなり得ます。
未来への不安があるからこそ、私たちはその未来を良いものにしようと努力します。現在への不満があるからこそ、私たちは新しい技術や制度を生み出します。死を意識するからこそ、今を大切にし、愛する人々との関係を深めるのです。不安そのものは避けられませんが、その不安を乗り越えることで生まれる希望や行動には、計り知れない価値があるのです。
心配する動物としての幸福の在り方
人間が「心配する動物」であるならば、私たちはその特性をどう活かすべきでしょうか。それは、不安や心配を無理に消し去ろうとするのではなく、それらを受け入れつつ、それをポジティブな行動や思考に変えることにあります。
瞑想やマインドフルネスのような方法は、不安を和らげる助けとなります。また、他者とのつながりを深めることで、孤独感や無力感を軽減することができます。そして、自分が抱く不安を単なる「心配」ではなく、次の一歩を踏み出すためのきっかけと捉えることで、新たな可能性が開けるのです。
まとめ
ルイス・トーマスが指摘した「心配する動物」としての人間の姿は、決して悲観的な視点だけではありません。それは、私たちが不安や恐怖を持ちながらも、それらを超えて成長し、希望を見出す力を持つ存在であることを示しています。不安は避けられないものですが、それをどう受け止めるかは、私たち自身の選択次第です。
未来を恐れることなく、現在に満足することを忘れず、そして死という現実を受け入れながらも、前を向いて生きていく。これが、心配する動物としての私たちの使命ではないでしょうか。トーマスの言葉を胸に、私たちの不安や心配が、新たな創造や幸福へとつながる一歩となるように、今ここでできることを見つけていきましょう。
